きのうのこと

終電を逃し、桜橋で時間を潰していると、1人の青年が声をかけてきた。
金髪の青年。
「キャンユースピークコリアン??」
「キャニュースピークインフリッシュ?」
彼は、韓国人らしかった。
英語は少しだけ話せるってことで、微妙な英語でのやり取りが始まる。
彼は弁天町まで行きたいらしい。
「アー、タクシー、ユーロエンOK??」
「タクシー、ユーロNO」
一応、弁天町はあっちの方だと教えたものの。
「ストレート、GO?」
と、言うので真っ直ぐではないんだよなーとか、困りはて。
なんやかんやで一緒に弁天町まで行くことになった。
歩きながら、微妙な英語での会話。
彼はわけあって独りで大阪に住んでいるみたいなのですが、とてもハードな人生を歩んでおられました。
プライバシーがあるので内容は言いませんが。
なのに、こんなに明るい性格ってことに、凄く親しみが湧いたりするわけで。
途中で交番があったので、交番に入るも、警官おらん。
意味ねーーよ。地図を見て、何とか正しい方角を確認。
外に出たら、彼、いない……。
「ちょ、ドコ行った!?」
急いで探すと工事中だった為か、川を右に渡っていた。
奇跡的に方角的には正解。
急いで追いつくと、歌を歌って登場。
なんだこの青年は、ネタなのか???
そんまま、川沿いを歩いていると、
「ベンテンチョウ、タクシー?」と言う。
ベンテンチョウからタクシー?に乗るつもりか?
どうやら、弁天町までタクシーで行きたい。ということみたいだった。
だが、ユーロでは乗れないよと。
彼は財布を開けて見せてくれたんだが、普通に日本円1万5千円くらい入ってた……。





そう言えばかれは、「タクシー、ユーロエンOK?」と言っていた。
「ユーロエン」「ユーロ、エン」
そう、ユーロかエンで乗れるかと訊いていたのだ。
「タクシー、エンOK!!」とテンションあげて、タクシーを捕まえてあげる。
「カムサ ハムニダ」と言って彼はタクシーに乗り込む。
運転手にうまく行き先を伝えられるか不安で見守っていると何とか伝えられたようで、車は走りだした。
手を振るが、彼はこちらを1度も振り返らなかった。




「って、何でやねん!」
深夜2時前の大阪に粋の良いツッコミが響いた……。